普段、中学校や高校の吹奏楽部へレッスンへ行くことが多いのですが、最近よく聞く学生さんたちの悩みや相談がこんな感じ。
学生さん
- 平日放課後の短時間の部活で何をするべき?
- そもそもどんな練習をしたらいいの?
- 効率のいい基礎練習を知りたい。
- 効率のいい曲の練習方法を知りたい。
こんなお悩みに答えていこうと思います👍
普段の部活動でどんな練習をするべき?
そもそも普段の部活動でどんな練習をするべきなのかを考えてみましょう☝️
大きく分けるとこんな感じです。
- リード選び
- 個人での基礎練習
- 個人での曲練習
- パートでの基礎練習
- パートでの曲練習
▫︎リード選び
まず見落としがちなリード選び。とても大切です✨
コンディションの悪いリードを使うと、練習全体の効率が悪くなる原因になるので、練習の初め10分でもいいので何枚かのリードを吹いて、できるだけ良いリードで練習を始めるように心がけましょう👍
基本的に1枚のリードを酷使するのはリードに良くないので、できれば5〜10枚くらいのリードを持っておき、1枚のリードに負担が集中しないように使っていくのがポイントです。(値段が高いですがテナー、バリトンも3〜5枚くらいはあると良いでしょう)
昨日吹きやすかったリードが今日は吹きづらい、昨日吹きにくかったリードが今日は吹きやすい、などリードの状態の変化を感じながら日々練習することでそれぞれのリードの特徴を感じたり、鳴るポイントを見つける力を身につけることができます。
基礎練習をしながらリードを選んでも良いのですが、基礎練習もなるべく良いリードで行いたいので、まずパッといくつかリードを吹いて「これ吹きやすいな」と思うリードで基礎練習を始めるのを心がけましょう👍(一枚一枚じっくり吹くというよりは直感的に選んでも良いと思います)
▫︎個人での基礎練習
リードを選んだら基礎練習をしましょう。
基礎練習といっても色々な練習があります。自分が苦手な部分や練習している曲を吹く上で必要なものを選んで練習するのが効率が良いでしょう👍
- ロングトーン
- スケール
- タンギング
- アーティキュレーション
- インターバル
特に重要なのは[ロングトーン]と[スケール]。そのほかは適宜、苦手だなと思うものや練習中の曲でできないポイントに合わせて取り組むようにするのが良いと思います👍
・[ロングトーン]は、ただ音を伸ばすのではなく、どういうことを改善するためにやるのかよく考えながら練習するのがポイントです。(発音をきれいに、音が揺れないように、クレッシェンドしながら、デクレッシェンドしながら、音の処理をきれいに、など)
・[スケール]は、いろいろな調(♯、♭3つくらいまでできると⭕️)をいろいろな速さで行うのがポイントです。(アーティキュレーションを変えて練習することで後述のタンギングやアーティキュレーションの練習を同時に行うこともできます)
・[タンギング]は、タンギングのスピードやコントロールの精度を高めるために行います。ただひたすら速くするのではなく、速さをコントロールできるように色々なテンポで練習しましょう。自分ができる最速のテンポより少し遅いテンポでコントロールできるよう練習するのがコツです☝️(意外と難しいです)
・[アーティキュレーション]は、決まったフレーズを色々なアーティキュレーションで練習します。基本的にはスケール練習の中に組み込むのが良いと思います👍
・[インターバル]は、1つの音を基準に色々な音を往復しながら一つ一つの音のツボを覚えていく練習です。スラーで行うのがポイントで、各音が一番良い響きになるポイントに瞬間的に息を入れる感覚を覚えるのが目的です。
基礎練習についてはこちらの記事でも細かく書いているのでぜひ読んでみてください✨
▫︎個人での曲練習
個人での曲練習で意識するポイントは「できないところを一つずつつぶしていく」という点です。
まずは「連符が速くて吹けない」「タンギングが速くてできない」「幅の広い跳躍がスムーズにできない」「リズムが複雑で間違えやすい」などできないポイントをピックアップしていきましょう。
どんな場合もまずはゆっくりやりながら「このテンポならできる」「このテンポくらいからできるか怪しい」といった感じで今の自分の状況をきちんと理解するのが大切です。
丁寧に練習していけば確実にうまくいく確率は上がっていきますが、できない段階で何度もミスしながら速いテンポでやり続けると悪い癖がついてしまう原因になるので気をつけましょう。
またゆっくりからテクニックを練習するときもできるかぎり音楽の方向性や、どこに向かっていてどこで収まるフレーズなのかを意識しながら練習するのが大切です👍
▫︎パートでの基礎練習
パートでも基礎練習をするのはとても大切です。
パートのメンバーと一緒に吹くことで発音やピッチ、音の処理などを揃えていきます。
曲を吹きながら常に細かいところを全て意識するのは難しいので、ロングトーンやスケールなど、慣れた練習を利用して周りの音をよく聞く練習をしましょう。
せっかくパートでロングトーンをしているのに自分のことばかり考えていては個人練習とあまり変わらないので、できるだけ周りの音を聞きながら吹く意識をしましょう。
発音やピッチを揃える上で一つ意識しておくと良いのが、音量を揃える意識をすること。先輩の音に合わせようと音を小さくしてしまうというケースをよく見ますが、それだと混ざるというよりは埋もれてしまうことになるので、なるべく音量を揃えることを意識しましょう。ピッチに関しても「やばいっ、音程ズレてるっ」と思った時、音量は落とさないで合うポイントを探すのがコツです☝️
練習なので「こう吹くとズレてしまう」というのを理解して、いろいろ試すのがとても大切です👍
▫︎パートでの曲練習
パートでの曲練習で意識するポイントはこんな感じ。
- 他のパートがどういう動きをしているか
- パートごとのバランス
- ハーモニーは美しく鳴っているか
- リズムやアーティキュレーションは揃っているか
- フレーズ感はあっているか
まずとても大切なのは他のパートがどういう動きをしているのかを理解する、ということです。バランスをとる、ハーモニーを合わせる、というところにも繋がってきますが、自分が音を伸ばしている時に他のパートはどう動いているか、他のパートがこう動いたら自分が動く、など色々な情報を持って演奏することが大切です。
パート練習の時間はできるだけ自分の音ではなく他の人の音に耳を傾けるようにするように意識しましょう。
パート練習で周りを聞く癖をつけておけば合奏になっても無意識に他の楽器の音を聞き、バランスや音程を取ることができるようになっていくと思います👍日々の積み重ねが大切です✨
慣れてきたらパートのみんなで同じニュアンスやアーティキュレーションを表現できるように練習していきましょう。もちろん最終的には、他の楽器含め吹奏楽全体で揃うことが大切ですが、まずはパートで揃えられるように練習しましょう。
具体的には音の出だしや終わりをどういう形にするか、アクセントやスタッカートがついている音をどういう形、長さにするか、どこに向かってフレーズの山を作るか、などをパートで合わせていけると良いと思います。
サクソフォンパートはアルト、テナー、バリトンで全く違う動きをしていることも珍しくありません。(アルト→メロディー、テナー→対旋律、バリトン→ベースラインなど)
音楽がどこに向かっているのかをきちんと共有できると一体感のある演奏に近づくことができると思いますよ✨
限られた時間で何を練習するべき?
ここまで練習の内容を書いてきましたが、これを全て十分にこなすには相当な時間が必要です。少なくとも普段の授業の後の部活動(1時間〜2時間)でこなすのは難しいでしょう。
短い時間で全て詰め込むのではなくパートで、今日はこの基礎練習をしよう、曲はここからここまでを合わせよう、というように範囲を決めて練習することをお勧めします。([例]基礎練習はタンギング練習、曲は練習番号A〜C)
吹奏楽コンクールを例に考えてみると、4月から課題曲と自由曲の練習を始めたとしても最初の予選まで3ヶ月以上あります。日々の練習で練習番号一つずつ丁寧に進めていく時間はあると思います👍
具体的な練習時間の割り振り
具体的にいくつか例をあげてみます。
①練習時間が2時間 (パート練習まで行う場合)
- リード選び(10分)
- 個人で基礎(20分)
- 個人で曲練習(30分)
- パート練習の準備、休憩(10分)
- パートで基礎練習、曲練習(50分)
パート練習でどういう基礎練習、曲のどこをやるかあらかじめ決めておき、個人でもそこを練習する。曲は無理に最初から最後まで全部やる必要はありません。
②練習時間が1時間 (個人練習だけ)
- リード選び(10分)
- 基礎練習(20分)
- 曲練習(30分)
次のパート練習で合わせる箇所を決めておき、それに向けた基礎練習、曲練習をする。
基礎と曲の細かい配分は自由で良いと思いますが、詰め込みすぎて全部が中途半端にならないようにできる範囲で練習メニューを組むのが大切です👍
部活の時間や練習スペース、人数など学校によって状況は様々ですが、共通して言えるのは無理のない練習の計画を立てることです。ひたすら曲を通す練習をしていても荒い演奏にしかなりません。細かく確認しながら丁寧に練習をしていきましょう✨
丁寧にコツコツ。
指を早く動かす、速いタンギングをする、といったテクニック面はもちろん音楽的な内容に関しても1日で身につけることはできません。コツコツ丁寧な練習をしていれば確実に100%上達していくことができます。
楽譜をもらっていきなりテンポ通りで吹くことはなかなかできませんが丁寧に練習していけば必ず演奏できるようになるので、根気強く練習しましょう👍
連符の練習の仕方、曲の読み込み方など、細かい練習の内容に関しては別の記事でも書いているので、読んでみてくださいね✨
それではまた〜。
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