ソプラニーノサックス攻略法[演奏のヒントをおはなしします]

・サックスのコツ

大学時代から吹いており、所属している東京サクソフォーンオーケストラでも演奏しているソプラニーノサクソフォンですが、数あるサクソフォンの中でもダントツでクセのある楽器です(笑)

初めて吹いた時の音程といい高音域といい中音域といい低音域といい、その操れなさといったら相当なものでした、、、。

今回はソプラニーノサクソフォンの音域別の特徴を細かく書いてみます。(僕個人の感覚なので楽器のメーカーや使う道具によっては当てはまらない場合もあります。参考程度にしてもらえればと思います。)

記事の後半では普段僕が使っている運指も載せておこうと思いますので、是非最後まで読んでもらえると嬉しいです。

この記事の内容が刺さる読者の方は相当限られてくると思いますが、何らかの理由でソプラニーノを吹かなければいけなくなった方の助けになれば幸いです✨笑

以前に一度ソプラニーノの記事を書いており、多少重複する点もありますが、本記事が最新版です👍

前回の記事はこちら

ソプラニーノサックスの音域ごとのクセ

いろいろと書く前に、僕の使っているセッティングを書いておきます。

あだちのセッティング(2023/1/13時点)
  • 本体:JINBAO JBSST-420L
  • マウスピース:付属品(開きは狭め)
  • リガチャー:付属品(順締め 2つネジ)
  • リード:Vandoren Traditional 3 1/2 (E♭クラリネット用)

過去にはセルマー、ヤナギサワも吹いたことがありますが、音程の微妙な差はあるものの、楽器自体の特徴はほぼ同じでした。

最低音[実音C♯(D♭)]〜ファ♯[実音A]

この音域のクセは「開いた音になりやすい」という点。

管を長く使う低音域とはいえ、そもそもの管体が短いのでどうしても響きが薄い開いた音になりやすいです。ただソプラノやアルトのように外れやすい、ということはない印象です。感覚的にはあるとの中音域を吹いているのようなアンブシュアや息の使い方をすると豊かな音が得られると思います。

またサクソフォンオーケストラの中でソプラニーノが低音域を吹く場面では、大きな音量を求められることはあまりないと思います。響きを変化させるために書かれているケースが多いので、大きい音量を出すということより、良い音色や響きを優先して吹いたほうが良いでしょう。ソロの場合も、力まずきちんと息を入れた音の方がホールでは綺麗に響きますし、遠くまで聴こえます。

また、低音域はピッチが狂いやすい音は少ないです。正しくチューニングしていれば、極端にずれることはないと思います。

ソプラニーノの中では比較的ストレスなく吹ける音域です(笑)

ソ[実音B♭]〜ド♯[実音E]

この音域はひたすら響きが薄っぺらい音になりやすいです(泣)。ピッチもぶら下がりやすく、響きも下向きで平べったい音になりやすいです。

非常に素朴で魅力的な音色がする音域で、ほかのサクソフォンでは出せない音色感ではあるのですが、コントロールは相当難しい音域です。

まず根本的に重要なのはチューニングです。基本的にこの音域はアルトやテナーのように少し噛むことで、ピッチ高め、響き明るめにしようとしても音がつぶれる一方で綺麗な響きにはなりません。

通常チューニングはオクターブキイを押したファ♯(実音A)ですると思いますが、そこも確認しつつこの音域がピッタリ、もしくはほんの少し高めになるところで合わせています(そうすると高音域のピッチがとんでもないことになる、、と言いたくなる気持ちはとてもとてもよくわかりますが一旦今は我慢してください笑)。

低音域と同じくきちんと楽器が響くように息をしっかり入れる必要があります。

また、どうしても響きにくい音域なので短い音価の音を吹く音きはやや長めに吹くように意識してみると良いかもしれません。

サクソフォンオーケストラの中だとあえてこの辺りの音域を使ってのソロなんかもありますが、そういう時はソロの直前にマウスピースを少し差してそもそものチューニングを上げる、という方法もあります。(僕はよくやっています)

各音の特徴に関しては僕のセッティングではこんな感じです。(何度も言いますが僕の楽器、セッティングでの話です)

それぞれの音の特徴 ([ ]内は実音)

  • ソ[B♭]・・・大きなクセはない。ピッチはやや高く出るが許容範囲。いい音が出やすいだけに半音上のソ♯との差が出やすい。
  • ソ♯[H]・・・とにかくピッチが低く、響きが下向き。強く吹くとさらに悪化。可能な限り替え指推奨。低いからといって噛んだところでピッチも上がらなければ、響きも良くならない。個人的には全音域通してトップクラスの苦手音。
  • ラ[C]・・・響きは悪くないがピッチが高い。吹き込んでもあんまり下がらない。この音だけ聞いて違和感があるほど高くはないが、半音下のソ♯があまりにも低いので隣り合うと相対的にめちゃめちゃ高く聞こえる。替え指で補正可能。
  • ラ♯(シ♭)[C♯(D♭)]・・・ややピッチが高いが大きく補正する必要があるほどではない(気になる場合は替え指で下げることも可)。細い音になりやすいので息を入れる意識があると良いかも。息をしっかり入れてややピッチが下がったくらいがピッチはちょうどいい。
  • シ[D]・・・リードによってはピッチが高くなることがあるが許容範囲。ラ♯と同じく細い音になりやすいので注意。
  • ド[E♭]・・・大きな問題はない。さすがE♭管。優秀。
  • ド♯[E]・・・2種類の運指があるのでメロディーの流れやハーモニーによって使い分けることが可能。一般的な開放の運指だと響きが薄い音。音程は大きくは崩れないが大きな音量は出しづらい。テーブルキーを使った1オクターヴ下のド♯の運指にそのままオクターヴキイを足すと割と太くて響く音が出る(アルトやソプラノではあまり使えない音色になってしまうが、ソプラニーノだといける)。メロディーを吹くときや大きい音量が欲しい時にかなりオススメ。

こんな感じで自分の楽器での特徴をよく理解することが大切です👆

レ[実音F]〜ソ[実音B♭]

この音域は最高です。音程や響きも安定していてコントロールしやすいです。

特別変わった運指を使わなくても大丈夫です。僕が使っている楽器ではどの音もピッチは高くても+15くらいには収まるので替え指は使わず通常の運指で吹いています。

アルトと同様にやや音がこもりやすい傾向にはあるので圧力のある息を使う必要があります。

◆それぞれの音の特徴([ ]内は実音)

  • レ[F]・・・音程はやや高くなるどうしても下げたい時はどこかのキイを塞ぐことも。あえて薄い音色が欲しい時はサイドキイで取るという方法もアリ。
  • レ♯[F♯]・・・レとほぼ同じ。
  • ミ[G]・・・レ、レ♯より高くなる傾向にあり。音程に注意。
  • ファ[A♭]・・・とっても吹きやすい音です。大好きです。特にいうことないです。
  • ファ♯[A]・・・チューニング音。この音がいい音で鳴らないリードは使わない。
  • ソ[B♭]・・・ややこの上の音域の吹き心地が混ざってくる感じ。ピッチは問題ないが、音が開いたり細くなりそうになるので息の圧力に気を使って吹くと良いかも。

ソ♯[実音H]〜ド[実音E♭]

この辺から何やら様子がおかしくなってきます。笑

全部の音にクセがあります。それをあらゆる術を使って、いかにクセがないように聞かせるかがポイントになってきます。幸い音色はそこまで悪くないのでひたすらピッチに気をつかって吹いています。

替え指がかなり重要になってきますが、ひとまずそれぞれの音について書いておきます。

◆それぞれの音の特徴([ ]内は実音)

  • ソ♯[H]・・・オクターヴ下に裏返りやすい(楽器の調整もあるかも)。第2オクターブキイの孔がとても小さいのでそこに水分が溜まってしまうとオクターヴ下のソ♯[H]がなってしまうことがある。そもそもの音のピッチや響きは大きなクセはないがとりあえず水分に注意。
  • ラ[C・]・・ピッチが高い(普通に吹くと+30くらい平気で高い)。ちょっと強く噛むとラ♯が出る。よっぽどの連符でない限りは替え指必須。可能であれば細かい音符の中でも替え指をしたいくらいにはピッチに難あり。速い連符の途中では一瞬アンブシュアを緩める、という作業が必要なので、通常の運指でどれくらい口で下げたら許容範囲におさまるのかしっかり感覚を掴んでおこう。
  • ラ♯[C♯]・・・ピッチが高い(普通に吹くと+20くらい普通に高い)。ラと同様の意識が必要。いくつか運指があるので隣りあった音に応じて使い分ける必要あり。通常運指で正しいピッチを出すためのアンブシュアの具合は把握しておく必要あり。
  • シ[D]・・・意味がわからないくらいピッチが高い(普通に吹くと+40くらいは高い。ちょっと噛んだらドが簡単に出る)。普通の運指で吹くことはほぼない。連符の中でもなんとかして替え指を使いたい。替え指を使えば安定して許容範囲で吹ける。
  • ド[E♭]・・・この音域の中では唯一変え指が必要ない音(なんとなく押したらピッチが下がりそうな4.5.6を押すとちょい高くなる)。とはいえ油断するとピッチは高くなるので上がりすぎないように吹く意識は大切)

ド♯[実音E]〜ファ♯[実音A]

ここからが魔境です。そもそも正確に当てるのが難しい上、出た音の音色、ピッチのコントロールが激ムズです。笑

そして何よりこの辺の音域をずっと吹いていると口が終わります。笑

入念に万全の準備をして効率よく練習していかないと痛すぎて練習どころではなくなります。(僕は基本的に最初はアルトでさらっています)

全体に共通するのは管の長さが短い点。押さえても特に支障がないところを押さえて少しでも管体が響きやすいようにしてあげると良いと思います。

運指についてですが、基本的にはここの音域はほぼ替え指で吹いています。笑

各音の特徴はこんな感じ。

◆それぞれの音の特徴([ ]内は実音)

  • ド♯[E]・・・ピッチ鬼高。替え指でピッチを抑えるのは必須。変え指はピッチだけでなく音の当たりやすさも改善してくれるので一石二鳥。サクソフォンオーケストラだとソプラノの最高音とユニゾンになることが多いのでソプラノの人がどのくらいのピッチになるのかあらかじめ知っておくとかなり楽。
  • レ[F]・・・ピッチは高いが振り切るほどではない。ただ通常の運指で当てに行こうとすると高く出やすいので音程がやや低めに出る替え指でしっかり当てに行くとちょうどよくなる。この辺から特に音が鋭くなりやすいので押さえられるキイは押さえて少しでも響きやすいようにするのが重要。
  • レ♯[F♯]・・・レと感覚的には近いが、よりピッチは高くなりやすい。ただ意外と当てやすいのでそんなに嫌いではない。笑
  • ミ[G]・・・この辺からはもう大変。通常の運指からサイドキイを抜いたり左手1,2,3番のキイを使った運指などいろいろ使い分けよう。音量を出せる箇所であれば通常の運指でめっちゃ下げながらでも吹けるが正しいピッチで当てるには訓練必須。
  • ファ[A♭]・・・この辺はなかなか頻出ではないけどミと同じような感覚で立ち向かおう。運指はいくつかあるので場面によって使い分けよう。※過去に一度だけソロの最後pppでこの音を一人でのばすというのがありました。確実に今までで一番難しかったです。(フロントキイ使った意味不明な運指で当てました笑)
  • ファ♯[A]・・・この音が使われる場面は基本的に大きい音量の箇所だと思うので、通常運指で下げながら吹くことが多い。サイドキイを抜いてピッチを下げたり、フロントを使って出すことも可能。ちなみに通常運の指でめっちゃ鋭く吹き込むと半音上のソ[B♭]が出る。笑

今まで、この上のソ[B♭]、その半音上のソ♯[H]までは曲で出てきて使ったことがありますが、実用性低すぎるので割愛します。(気になる方はコメントください!笑)

ここからは運指を紹介していきます。

各音で使える運指

ここまでの文で出てきた「替え指」というワードに該当する運指を音ごとに並べてみますので参考にしてみてください。(何度も何度も言いますが楽器によって効果がない、または逆効果になる可能性もあるので信用しすぎず参考にしてください笑)

下のソ[実音B♭]〜ド♯[実音E]

ソ[B♭] ピッチが低い時にTfを押す
ソ♯[H] ピッチが低い時にTfを押す
ラ[C] ピッチが高い時に5を押す
ラ♯[C♯] ピッチが高い時に5を押す
ド♯[E]① ピッチが低い時にTcを押す
ド♯[E]② ※超便利! 音色やピッチが全体的に良くなる!

ラ[C]から上の音

ラ[C] ピッチが高い場合5を押して下げる
ラ♯[C♯] ピッチが高い場合5を押して下げる
シ[D] 通常運指だと異常にピッチが高いのでほぼこの運指で吹いています。
ド♯[E] ピッチの上がり過ぎを防げる+命中率UP
レ[F] 音色やピッチを安定させる+命中率UP
レ♯[F♯] 音色やピッチの安定感がます+命中率UP
ミ[G]① ピッチが高い時はサイドキーを1つ離す
ミ[G]② かなり当てやすい
ファ[A♭]① ピッチが高い時はサイドキーを離す
ファ[A♭]② この運指でも出る
ファ♯[A]① ピッチが高い時はサイドキーをいくつか離す
ファ♯[A]② この運指でも出るかも

ソプラニーノサックスを楽しもう✨

ここまで説明してきた方法をぜひ試してみてもらえたらと思います。

大切なのは自分の楽器の特徴や曲を細かく把握することです。

油断するととんでもない音色や音程でサウンドを破壊することになりかねませんので、神経を研ぎ澄まして演奏する必要があります。

替え指に関してですが、特に高い音は「音を正確に当てながらピッチを下げる」というのはかなり大変なので「当てやすいアンブシュアの圧力で吹いた時に良いピッチが出せる運指」を探すのがコツです。

アルトやソプラノに比べて運指の可能性はめちゃめちゃ幅広いのでご自身の演奏している楽器にベストな運指を見つけていけると正確にコントロールできるようになると思います👍

ちなみに今までやったことはありませんがソプラニーノのレッスンも受け付けております。

ぜひ楽しく一緒に境地を目指しましょう笑

[SNS]のDMかこちらの[Contact]ページからどうぞ。

また何か新しい攻略法を見つけたら随時発信していきます✨

最後に2つ演奏動画を。(フェルリング18番とボレロ)

※もちろん替え指めっちゃ使ってます。

それではまた〜。

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