今回は少しマニアックな内容です。
かなり個人的な見解が入った内容ですが、すごくしっくりくる思考法だったので記事にしてみました。
参考程度に読んでいただけたら嬉しいです。
スポーツの思考法を楽器の演奏に応用できないか、ということ書いてみようと思います。
安定したテクニックで、クオリティの高い演奏をすることが求められる「演奏家」として、とても参考になる内容だったので、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
楽器演奏の練習効率やクオリティ向上のヒントになるかも✨
はじめに
まずはじめになぜ今回こういったテーマの記事を書いてみようと思ったか、についてお話しします。
僕はサッカー観戦をすることが大の趣味なのですが、最近は試合を見るだけでなく一流選手たちの思考法や練習法を分析したり、本人たちがテクニックの解説をしている動画を見るのにハマっています。
はじめは単純に一流選手のプレーを見ていて「なんでこんなにシュートが決まるのか」「なんでこんなにドリブルでたくさんの選手をかわせるのか」「なんでこのキーパーはこんなにシュートを止められるのか」というのが気になって見始めたのですが、色々な動画を見ているうちによく聞く「センス」や「感覚」といった抽象的なことではなく、かなり深い「論理」に基づいて狙って「再現」されている結果だということを知りました。
試合を観ていると一瞬の出来事なんですが、紐解いていくとかなり細かい技術や論理があるんだなあと。
もちろんサッカーと楽器の演奏では異なる点が多いですが、
①【練習する】→②【実践する】→③【フィードバックする】→④【改善点を見つける】
というサイクルは同じなのかなと思うようになりました。
そんな中で出会った「言語化」する力、思考を「キャンセル」する力、「再現性」のある技術、というキーワードがとてもしっくりきたので楽器の演奏に応用できないかを考えてみます。
とても参考になった動画はこちら↓(日本代表の三笘選手の技術について分析している動画です)
①「言語化」する力
この「言語化」というキーワードが今回の記事の最も大きなテーマでもあります。
これは僕も楽器の練習をする上で以前からかなり意識していた点でした。
確実なテクニックを身につける、再現性が高くクオリティの高い音楽をする、ということを目指す時に非常に大切なポイントです。
どういうことか簡単に説明すると
「なぜこうなるのか?」と思う点を明確な「言葉」にする
ということです。
戦術の動画では三笘選手のドリブルを例として
- なぜこんなにドリブルで相手をかわせるのか
という点を徹底的に解剖しています。解剖していく議論はぜひ動画を見てみてもらえればと思います。
これを音楽にどう応用するかということですが、僕がよく意識するのは以下のような疑問を持った時です。
(楽器の練習中、自分の演奏を聴いた時、人の演奏を聴いた時など状況は様々です)
- なぜこの連符が正確に吹けないのか、正確に聞こえないのか
- なぜ音を間違えたのか
- なぜ音を外したのか
- なぜフレーズが短く聞こえるのか
- なぜ音程が悪く聞こえるのか
- なぜこんなに魅力的なフレーズに聞こえるのか
などなど様々です。
この素朴で抽象的な疑問をどこまで「言語化」して深掘りしていくかが、この後にお話しする「柔軟性」や「再現性」といった点に関わってきます。
例として「連符が正確に吹けない」というケースを考えてみます。
重要なのは
①吹けない連符がある→②いつもの練習パターンでひたすら繰り返し練習する
ではなく
①吹けない連符がある→②今どういう状況かを「言語化」する→③最も適した練習方法を考える→④実践する
この「言語化」のステップを踏むこと。
「この指に力が入っているから転んでいる」「運指が適していないから上手くいかない」「息の使い方が正しくないからスムーズに繋がらない」といった原因をきちんと言語化することを心がけています。
それによって苦手な部分を狙った、ピンポイントで効果的な修正が可能なので今後同じパターンでの失敗の防止につながります。これが最後のテーマで話す「再現性」を高めることにつながります。
②「柔軟性」のある思考
言語化していくことは頭の中を整理することにもつながります。
上手くいった理由や、上手くいかない原因を「なんとなく」ではなく「こういう理由でこうなった」というふうに理解して脳に蓄積していくことで、自然と思考の引き出しが増えて頭の中がスッキリしてきます。
上手くいったけどなんでかはよく分からない、なんで失敗してしまうか分からない、という思考はいざ本番になった時の「上手くいかないかもしれない」というマイナスな方向に働くことが多いように感じます。
練習でしっかり言語化して深掘りし「理解」と「納得」を重ねていくことで少しずつ余裕が生まれてくると思います。
結果的に無駄な思考が省かれれば省かれるだけ演奏中に余裕が生まれ、より柔軟にその場の現象に対応できるようになるのではないかと思います。
これは後述の「即興性」を生み出すことにつながると考えています。
③「再現性」と「即興性」
僕は音楽を演奏する上で
『再現性』
『即興性』
この2つは非常に重要だと思っています。
正確で安定したテクニックや深掘りした分析から生まれる「再現性」と、不安要素を理解して修正していった結果生まれる余裕を支えとした「即興性」の2つです。
ただそれと同時にどちらかだけではあまり魅力的な演奏にはならないかな、とも考えています。
「即興性」が無く毎回全く同じ演奏というのも飽きてしまってワクワク感がないし、「再現性」が低く毎回統一感のない不安定な演奏というのもあまり良くないと思います。
紙一重ですがこの2つが両立できた時に魅力的な演奏になるのではないかと思います。
サッカーの話に戻ると三苫選手は「絶対に相手をかわせる」という自信のあるドリブルの型を持っているんだそうです。ただもちろん相手はそれを予想して対策を練ってくるわけですが、自信から生まれる余裕があるので、いざ敵が先読みして動いてきた時に「そうくるならじゃあこっち」という風に相手の予想とは違う動きが意識的にできるということなのだそうです。
一瞬の判断ですが、それは初めのテーマでもある、起きている現象を「言語化」することで蓄積されたいろいろな情報やアイデアから生まれる即興的なプレーでもあるそうです。
おしまいに
サッカーには対戦相手がいてその相手との瞬間的な心理的勝負だったりするわけですが、音楽には特に対戦相手がいるわけではありません。
全てが共通というわけではありませんが、技術向上やメンタル的な部分で参考になる点の多い考え方だなと思ったので今回は楽器の演奏と比べて書いてみました。
頭で紹介した動画はサッカーのことが全く分からない方でもわかりやすい動画かなと思うのでぜひみてみてください(同チャンネルの他の動画もめっちゃ興味深いものが多いです)
それではまた〜。
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